小型ロケット「カイロス」の2号機が、午前11時に日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられました。スペースワンによりますと、ミッション達成困難と判断し、飛行中断措置を行ったということです。現在、詳細について調査中としていて、午後2時半から会見を行い、状況を説明するとしています。
全長およそ18メートルの東京の宇宙ベンチャー企業「スペースワン」が開発したものです。ロケットには5基の人工衛星を搭載していて、打ち上げからおよそ50分後に高度500キロ付近の軌道で順次、衛星を切り離すことになります。
人工衛星の軌道への投入が成功すれば民間単独の打ち上げとしては国内で初めてとなります。カイロス2号機は当初、14日に打ち上げ予定でしたが、予定時刻のおよそ30分前に「発射場上空の風が強くロケットの打ち上げに適さない」として延期に。15日に予定していましたが同じ理由で延期となっていました。
カイロスは和歌山県串本町の発射場から打ち上げられた後、次の流れでカイロスのロケットや衛星が切り離される予定でした。
- 約2分28秒後、ロケットの1段目が燃焼を終え切り離し
- 約2分55秒後、「フェアリング(人工衛星を覆うカバー)」を切り離し
- 約4分40秒後、ロケットの2段目が燃焼を終え切り離し
- 約7分50秒後に、ロケットの3段目が切り離し
- 約53分35秒後、1つ目の衛星を高度500キロ付近で分離し順次他の衛星も切り離し
- 約54分1秒後、京都のベンチャー企業が開発した人工衛星を最後に分離予定
きょう午後2時半から「スペースワン」による会見が予定されていて、詳しい状況が明らかになると思われます。
岸本和歌山県知事「少し残念だが、一歩前進二歩前進。ぜひ次のチャレンジをしていただきたい」
和歌山県の岸本周平知事は「衛星を軌道にのせるミッションが達成されなかったという意味では、少し残念ですが、かなり進歩したと。一歩前進二歩前進ぐらいの感じで、今日は和歌山県にとりまして記念すべき日になったと考えています。相当進んでいると思います。スペースワン社は3月に1号機が失敗して、わずか9カ月で2号機の打ち上げまでいたりました。青空に向かってロケットが飛んでいる姿を見て感動いたしましたし、ぜひ次のチャレンジをしていただきたいと思います。この会見の前に、豊田社長から連絡をいただきまして、今回の飛行中断の原因究明とそれに対する対策本部を作ったと聞きましたので、スペースワン社は原因究明をして対策を立てて3号機の打ち上げを近い将来、楽しみにお待ちしております」と話しました。
そのうえで岸本知事は「これは負け惜しみではありませんが、民間で初めて衛星を軌道に乗せるということについては和歌山県の子どもたちに非常に良い教育効果をもたらしていただいていると思っています。これで5回うまくいかなかった。失敗して延期になっても大人たちが何度も挑戦する。人生はうまくいかない、でも、めげずに大人たちが挑戦する姿を見ている子どもたちへの教育的効果は非常に良いと思っています」と話しました。
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2024年12月18日
『【速報】飛行中断措置 ミッション達成困難 午後2時半から会見 民間の小型ロケット「カイロス」2号機 和歌山県串本町から打ち上げ』by「MBSニュース」
===>Yahooエキスパートのコメント
秋山文野:サイエンスライター/翻訳者(宇宙開発)
解説 「カイロス」2号機の飛行中断の詳細な状況については、12月18日午後から予定されていた記者会見まで断定的なことは言えませんが、所定の軌道に衛星を投入することができなかったわけですから打上げは失敗です。打上げ中継映像を見る限りでは、リフトオフ直後は安定しているようだった姿勢が1分半ごろから乱れていて、1・2段分離の前には正常な姿勢でなかったように見えます。姿勢の乱れがあったとすれば、それが発生した原因について本日中に詳細な原因推定の発表は難しいでしょう。今日の会見は発生した事象の確認にとどまるのではないでしょうか。
===>Yahooエキスパートのコメント
山崎直子:宇宙飛行士・一般社団法人SpacePortJapan代表理事
見解 「カイロス」2号機には人工衛星5基が搭載されていたこともあり、1号機に次ぐ飛行中断に至ったことはとても残念です。ロケット開発は、安全・信頼性を確保しつつ、国際競争も激しくなっている中でコストダウンを図らねばならず、常に難しい挑戦です。今回の原因究明が待たれますが、同時に、JAXAの固体ロケット「イプシロンS」ロケットも地上試験で苦戦しており、固体ロケットの技術の継承・発展を全体的に図っていくことも大切でしょう。
コメント
途中から姿勢が不安定になったように見えましたが、推力不足か姿勢制御システムに問題があったのか、、いずれにせよこれも経験なのでめげずにどんどんチャレンジして日本の民間宇宙開発を盛り上げてほしいですね!
1段目の分離前に、急激にコースが変わってるように見えまして、あっと思ったのですが、やはり飛行中断ですか。 いや、返す返すも残念です。
カイロス打ち上げ失敗か。 なんか、変にスピンしてたからね。
打ち上げ失敗かな?くるくる回転して制御不能なってた感じしたからね..
困難に挑戦してこその発展。
次回に期待したい
日本もペンシルロケットから散々苦労してやっとH2で国産化出来たくらいですから、民間企業が同じことをしようとすると相当大変な事業になるでしょう。成功するまで資金と気力が持つかどうかでしょう。何とか頑張って欲しいです。
まだ2号機ですから失敗は充分あり得ることで、原因を追求して次に活かせばいいんです。
しかし1号機に続き2号機にも本物の衛星を積んで失ってしまったことはいただけないと思います。
普通は1号機はダミーを載せ、成功したら2号機から衛星も本物を載せるべき。
しかしまだ成功していないロケットに2回続けて本物を載せる判断は正しかったのか。運用面のリスクマネジメントができていたのか。そこの改善も急務だと思います。
中継を見ていると、途中で姿勢制御が困難になり、さらには回転している姿が映っていました。打ち上げ関係者は、悔しくてたまらないのではと思います。
そう簡単に行かない事は、各国での数々のロケット打ち上げ失敗を見ても明らかですし、今回は少なくとも発射台から上空まで達したので、この失敗を調査して、3号機にフィードバック出来れば良いと思っています。