「私は取調べを拒否します」と書かれたTシャツが大阪府警に「危険物」として取り上げられていたことが分かりました。
弁護人は「捜査機関にとって不都合な文字を危険物と扱う警察の体制こそ危険で、憲法上問題だ」と指摘しています。
大阪府警は「取り調べ拒否Tシャツ」を取り上げた理由について「集団生活している留置者の安全な生活に影響を及ぼす恐れがある」などと説明していて、今後同様のTシャツの着用を一律で認めない方針を固めています。
弁護人の松本亜土弁護士によると、今月初旬、大阪府に住む50代の男が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕され、大阪府羽曳野警察署に留置されました。
弁護人は取り調べを黙秘するよう勧め、「私は取調べを拒否します」と書かれたTシャツを渡しました。
しかし、Tシャツを渡した翌日の11日、男が留置場でTシャツを上着の中に着ていたところ、警察官に「メッセージ性に問題がある」と指摘され、取り上げられたということです。
その後、弁護人が警察に問い合わせると、Tシャツが「危険物」に当たると回答されたということです。
日本では、取り調べで事件のことを話したくなければ話さないでよい権利・「黙秘権」が憲法などで保障されています。
では、なぜTシャツを渡しているのでしょうか?
松本亜土弁護士は、「『黙秘します』と取り調べで言ったとて、取調官が色んなことを聞いてくるんですよね。『なんで黙秘するねん』とか」と述べています。
日本では逮捕してから最大で23日間身体拘束をすることができ、松本弁護士によるとその間、密室での取り調べが連日続くと言います。
「精神的に不安定だとか、幼い頃から学習環境に恵まれていない人たちが犯罪に巻き込まれることは多くあるので」と松本弁護士は言います。
「そういった人が調書を何ページも、『これが自分が言いたいことなのか』を閉じ込められている中で毎日何通も見るっていうのは、不可能ですよね」とも述べています。
「ただ取り調べ官に分かってほしい。一刻も早く、『もうこの人はもう黙秘権を行使してるから取調べをやめてほしい。もうしないで』という意味で、私はこの取調べを拒否しますっていうTシャツを差し入れている」と彼は言います。
2024年12月16日
【独自】取り調べ拒否『Tシャツ』 警察が『危険物』として取り上げ 「捜査に不都合な文字を危険物と扱う警察の体制は危険 憲法上問題」と弁護士指摘 逮捕から最大23日間身体拘束可能 密室での取り調べ続く日本
身柄の被疑者について、「黙秘権」は認められているが、「取調べ拒否権」なんてものは実務上も認められていない。一部の弁護士や学者が言っているだけで、判例上も身柄の被疑者に取調べ受忍義務があることは示されており、弁護人の主張が正しいとはいえない。
他方、いくら主張が間違っているとはいえ、シャツの文字程度で危険物と扱う留置の判断も疑問である。罪証隠滅のためのメッセージや威迫的文言でもないのだから、捜査官においては「ダサいシャツだなあ」と心中で笑っていれば足り、取り上げるのもどうかと思う。
捜査する側も弁護する側も欧米並みの制度にすればいいと思う。つまり捜査側にはおとり捜査を広範囲で認める。一方で弁護側には取り調べに立ち会う権利を常に認める。こうすれば公判で供述の任意性を争わなくて済むし、密室での取調べによる冤罪のリスクも減ると思うんだが。
「精神的に不安定だとか、幼い頃から学習環境に恵まれていない人たちが犯罪に巻き込まれることは多くあるので」こんなこと言い出したら、過去に不遇があったんだから仕方ないねで済んじゃうじゃない?保護責任者遺棄致死てことは、誰かが亡くなってるってことだよね?自分で言いたいことを言えないから黙秘しますっていうのはどうなのかなって思うよ。それが罷り通るなら、取り調べに応じる人っていなくなると思う。
保護責任者遺棄致死の疑いをかけられたということは、おそらく家族の中の子供か老人が亡くなったのだろうが、こうした家庭内の事案は密室性が高く、目撃者がいなくて証言が取れないから、本人の自供が捜査の中心になる。だから黙秘されると捜査が進まなくなって警察が困るのは、分かる。
差し入れを検閲済みで本人に渡してる以上、許可した側が後から取り上げるってことは、検閲の許可、不許可は誰基準なんだって話である。基準もなくその時の担当が好き勝手に判断してるなら批判もされるし、密室(一般人の目に触れることの無い)での理不尽な取り調べばかりだから取り調べの可視化を求められるんだろう。